今までに掲載した問題で解説を見ても分かりにくい問題をピックアップして詳しく解説いたします。
更に問題番号の後ろに(。)の有る問題は難しいと思います。
1。
決算日において、売上および受取地代の勘定残高を損益勘定に振り替えた。なお当期中の総売上高は13,400円、戻り高は500円であった。また、当期中の地代の受取高は320円、決算日における未収高は24円であった。(決算日 1 ア)
上記の問題の疑問点
①売上(収益) 13,400円(総売上高)ー500円(戻り高)返品=12,900円(差し引き後の純売上)
上記の仕訳
PL(損益計算書)貸方 売上12,900円 これを損益に振り替えるので、貸方の売上を借方に持って行く
その上で貸方を損益にする。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売上(収) | 12,900 | 損益 | 12,900 |
②受取地代(収)(地代の受取高)320円。これも上記同様 損益勘定に振り替えると
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
受取地代(収) | 320 | 損益 | 320 |
③(決算日における未収高は24円あった。)の問題ですが、本来なら未収収益の勘定科目は資産(BS)である。これをどうして受取地代と合わせるのか疑問だと思います。
回答
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売上 | 12,900 | 損益 | 13,244 |
受取地代 | 344 |
2
決算日における、期首商品棚卸高は240円、当期商品仕入高は2,460円、期末商品棚卸高は360円であり、仕入勘定で算定された売上原価を損益勘定に振り替えた。(決算日 1 イ)
当期の売上原価(仕入)を計算してみると
240円(期首商品棚卸高)いわゆる前期の繰越商品+2,460円(当期仕入れ商品)ー360円(期末商品棚卸高)=2,340円
従って、仕入(費)合計2,340円は借方から貸方に移動して借方を損益にする。
回答は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
損益 | 2,340 | 仕入(費) | 2,340 |
です。
参考までに
決算ではPLの貸方の損益が借方の損益より多い場合は黒字となります。
最終的には差額を繰越利益剰余金にします。
3。
現金の実際有高について実査を行った際に、帳簿残高より4,000円少なかった為 現金過不足勘定で処理して居た。本日、決算にあたり原因を調査したところ、収入印紙の購入額18,000円(全て使用済)が未記帳であること、また、売掛金12,000円を他人振出の小切手で受け取った際、借方を当座預金と誤記入していた事が分かった。なお、残額については原因不明の為、雑損または雑益として処理する。(決算日 1 キ)
①期中の現金過不足は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金過不足(ー) | 4,000 | 現金(資) | 4,000 |
②印紙(租税公課)が未記帳分
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
租税公課(費) | 18,000 | 現金(資) | 18,000 |
③誤仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座預金(資) | 12,000 | 売掛金(資) | 12,000 |
④誤仕訳の逆仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金(資) | 12,000 | 当座預金(資) | 12,000 |
⑤正しい仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金(資) | 12,000 | 売掛金(資) | 12,000 |
⑥相殺すると
売掛金が消えて
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金(資) | 12,000 | 当座預金(資) | 12,000 |
⑦ここまでを纏めると、
借方)租税公課 18,000円 | 貸方)現金過不足 4,000円 |
貸方)当座預金 12,000円 |
となります。
従って、貸方側に差額が発生しているで、雑益にします。
正解は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
租税公課 | 18,000 | 当座預金 | 12,000 |
現金化不足 | 4,000 | ||
雑益 | 2,000 |
4。
当期の決算において売掛金の残高600,000円に対して3%の貸倒引当金を設定する。なお、貸倒引当金の期末残高は24,000円である。(決算日 1 ケ)
①貸倒引当金
600,000x0.03=18,000
②前半の文章の問題だけの仕訳は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金繰入(費) | 18,000 | 貸倒引当金(負) | 18,000 |
ですが、(なお)が有る為もうひと手間 掛けなければなりません。
既に貸倒引当金が24,000円有るので
③差額補充法が必要になります。
差額補充法とは、決算時に前期末の貸倒引当金が残っている場合、当期の設定額と期末残高との差額だけで貸倒引当金を設定します。
よって 24,000(期末残高)ー18,000(設定額)=6,000(貸倒引当金)
ここで、注意が有ります!
貸倒引当金の期末残高の方が多い場合 | 貸倒引当金戻入(収)を使う | 貸方 |
貸倒引当金の期末残高の方が少ない場合 | 貸倒引当金繰入(費)を使う | 借方 |
今回の場合、期末残高の方が多いので貸倒引当金戻入を使います。
既に貸倒引当金が24,000円有る為、設定すべき金額をオーバーしています。その時は貸倒引当金(貸方)を借方に移動して減額をして、貸倒引当金戻入という収益を計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当(負) | 6,000 | 貸倒引当金戻入(収) | 6,000 |
貸倒引当金を設定する場合と 実際に貸し倒れた場合で解答パタンが違うので注意が必要です。
5。
前期の決算において、前受処理した家賃600,000円について、本日(当期首)に再振替仕訳を行った。
①一見簡単そうに思えるが、前受家賃と受取家賃どちらが借方か貸方か迷いませんか?
回答は
借方)前受家賃(負)600,000円 | 貸方)受取家賃(収)600,000円 |
②どうして借方が前受家賃(負債)になるかというと、前期の決算仕訳は貸方の為、再振替なので借方に移動
③どうして貸方が受取家賃(収益)になるかというと、前期の決算整理仕訳は借方の為、再振替なので貸方に移動します。
6。
前期の決算において、支払い家賃のうち150,000円を未払家賃として計上していたので、本日(当期首)、再振替仕訳を行った。(決算後 1 キ)
回答は
借方)未払家賃(負)150,000円 | 貸方)支払家賃(費)150,000円 |
①前期の決算では
借方)支払家賃(費)150,000円 | 貸方)未払家賃(負)150,000円 |
従って、逆仕訳をすると回答になります。
7
x23年12月4日に前払金150円を支払って商品1,500円を注文し、12月7日に注文品を受け入れ、代金の残りは掛けとしていたが、12月8日に検品したところ一部に品違いがあった為150円分返品することにした。なお、返品額は掛代金から控除する。(決算前 2 ア)
回答は
借方)買掛金(負)150円 | 貸方)仕入(費)150円 |
①12月4日
借方)前払金 150円 | 貸方)現金 150円 |
②12月7日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 1,500 | 前払金 | 150円 |
買掛金 | 1,350円 |
上記はこの問題に関係なく下記が答えとなります。
③12月8日
借方)買掛金 150円 | 貸方)仕入 150円 |
9。
2)決算日において、過日借方に計上していた現金過不足10,000円を調査した結果、旅費交通費15,000円 受取手数料9,000円の記入漏れが見つかった。残高は原因不明なので雑益、雑損で処理する。(決算日 2 イ)
正解は
借方)旅費交通費(費)15,000円 | 貸方)現金過不足(ー)10,000円 |
借方)雑損(費)4,000円 | 貸方)受取手数料(収)9,000円 |
①現金化不足が借方にあったということは、実際有高のほうが少ないので、借方の差額は雑損になります。
10。
販売用の机を購入し、品物とともに下記の納品書を受取、代金のうち200,000円は先に支払った内金と相殺し、残額を普通預金より支払った。なお、この机の購入に係わる引取運賃17,000円は現金で支払った。(決算前 3 イ)
納品書 | HS大崎 | |
城ホールディングス 御中 | ||
机、椅子 | 1式 | |
内税 | 420,000円 |
回答は
借方)仕入(費)437,000円 | 貸方)前払金(資)200,000円 |
貸方)普通預金(資)220,000円 | |
貸方)現金(資)17,000円 |
借方に仕入を持ってくれば、分かり易くなります。費用の運賃は仕入にプラスします。
11。
得意先の大崎商店が倒産して、前期に大崎商店へ商品を売り上げた事により 生じた売掛金500円が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は360円である。(決算前 2 イ)
解答は
借方)貸倒引当金(負)360円 | 貸方)売掛金(資)500円 |
借方)貸倒損失(費)140円 |
①どうして、借方が貸倒引当金繰入ではないのか?
12
決算日において、売掛金の期末残高500円について、5%の貸倒引当金を設定する。
(差額補充法)(決算日 2 カ)
回答は、
借方)貸倒引当金繰入(費)25円 | 貸方)貸倒引当金(負)25円 |
①引当金と繰入どちらが来るか分かりにくいですが、設定するとの指示なので貸倒引当金繰入を増やします。
13
前期に大崎商店に販売した売掛金が、今期の8月に倒産した為100円が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高が40円ある。(決算日 2 キ)上記 類似問題
解答
借方)貸倒引当金(負)40円 | 貸方)売掛金(資)100円 |
借方)貸倒損失(費)60円 |
①どうして、貸倒引当金繰入でなく貸倒損失なのかは、繰入の場合は設定の時に使います。
今回は既に貸し倒れています。
14。
前期の決算で当座預金の貸方残高100,000円を当座借越に振り替えていたので、期首に再振替をした。
(決算日 2 コ)
解答
借方)当座借越(負)100,000円 | 貸方)当座預金(資)100,000円 |
①前期の決算で当座預金の貸方100,000円と言う事は、決算では当座預金のマイナスは出来ないので一旦 下記にします。
借方)当座預金(資)100,000円 | 貸方)当座借越(負)100,000円 |
その後に期首に再振替をすると、答えになります。
15。
大崎商店に1,200円を貸し付け、同額の約束手形を受け取り利子12円を差し引いた金額を当社の普通預金口座から大崎商店の普通預金口座に振り込んだ。(決算前 2 カ)
解答
借方)手形貸付金(資)1,200円 | 貸方)受取利息(収)12円 |
貸方)普通預金(資)1,188円 |
①借方の手形貸付金を受取手形としたい ところだが商品販売でないので、お金を貸した為、手形貸付となります。
重要勘定科目の確認
勘定科目 | 区分 | 備考 |
貸倒損失 | BS(費用) | 売掛金の回収不能金額(当期の貸倒に使う) |
貸倒引当金 | BS(負債) | 前もって貸倒ように準備するお金(前期の貸倒に使う) |
貸倒引当金繰入 | PL(費用) | 引当金の不足を補う |
貸倒引当金戻入 | PL(収益) | 引当金の設定を超えた金額 |
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